熊本市北区植木町の住宅街。
コーヒーの香りと木の匂いに誘われて足を踏み入れると、そこには外の世界とは違う、穏やかな時間が流れています。
「Calmest Coffee Shop(カーメストコーヒーショップ)」
ここは単に喉を潤す場所ではありません。オーナーの深迫さんは言います。
「怒っている人も、泣きたい人も、とりあえず椅子に座って落ち着ける。人が『話せる状態』に戻るための場所でありたいんです」
この店は、事故で亡くなられた息子さんの遺志を継ぎ、ご両親が始められました。
その歩みや想いに触れるため、今では世界中から多くの人々がこの場所を訪れます。
「飲みに来る」以上に「話しに来る」お客様が多いこの店にとって、空間が持つ役割は、何よりも重要でした。
深迫さんとジョンブルの関係は、実は数十年前、私たちが武蔵ヶ丘にあった頃から始まっていました。
しばらくの間、足が遠のいていた時期もありましたが、お店を始めるタイミングで、偶然にも私たちが運営していたショップ(BURN現在は閉店)で再会。それからほどなく、家具のオーダーをいただきました。
「お店のストーリー、自分の美意識、そして世界観。そのすべてを繋いでくれるのがジョンブルだった」
家具を納めるだけでなく、店が理想とする「空気づくり」に最後まで伴走すること。それが私たちの役割でした。

深迫さんが「一番いい」と信頼を寄せてくださるのが、英国の教会で使われていた「チャーチチェア」です。
「そこに座ると、不思議と人は言葉を置いていけるんです」
対話とは、言葉だけで生まれるものではありません。テーブルの高さ、椅子の感触、木の匂い。五感が整うことで、ようやく人は心を開きます。ジョンブルのアンティーク家具は、単なる装飾ではなく、人と人が向き合うための切実な「道具」として、この空間に存在しています。

「アンティークが好きな人には、ちゃんとした人が多い」と深迫さんは微笑みます。
一つのものを簡単に消費せず、傷や汚れ、歪みさえも欠点ではなく、そのモノが歩んできた「背景」として慈しむことができる。そんな感性を持った方々が、カーメストには自然と集まってきます。
深迫さんの作る空間に、ジョンブルの家具は必要不可欠。そう言って、実際にお店のお客様をジョンブルへご紹介いただくことも少なくありません。
それは、私たちが大切にしている「時間の手触り」を、深迫さんとお客様が深く理解してくださっている証でもあります。

そんな深迫さんの活動は、店の外へも広がっています。コーヒーの売上を被害者支援に充てる「Coffee aid」や、今後は熊本刑務所の敷地内に、対話のための「リフレクティングカフェ」を作る計画もあります。
「殺風景な場所で話すのと、温もりのある空間で話すのとでは、言葉の届き方が全く違う」
人が心を開くための「心理的安全性」を生み出すために、アンティークの温かみが必要だという深迫さんの言葉。そこには、ジョンブルが守り続けてきた「古いものの持つ力」への強い共感が込められていました。

アンティークは、空間を完成させて終わるものではありません。傷が増え、色が深まり、空間を「継続」させるためのものです。
完璧を目指すのではなく、時間の手触りを受け入れながら育っていく。
カーメストコーヒーショップに置かれた椅子やテーブルは、これからも訪れる人々の言葉を静かに受け止め、この場所を「帰ってくるべき場所」へと育てていくはずです。
ジョンブルもここに置かれる椅子とともに、対話の時間を支え続ける存在でありたいとあらためて思いました。

Shop Profile
| 住所 | 〒861-0104 熊本県熊本市北区植木町岩野802-3 |
|---|---|
| 電話 | 090-4487-0852 |
| 業種 | コーヒーショップ・カフェ |
| Web | calmestcoffeeshop.jimdofree.com |
| @calmestcoffeeshop |
| LOCATION |
〒861-4101 熊本県熊本市南区近見7丁目10-12
TEL 096-349-7711
>>GoogleMap
| OPEN HOURS |
火曜定休 11:00 - 17:00